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フランク、セザール(1822-1890)

CD ヴァイオリン・ソナタ(ピアノ独奏版)、『前奏曲、コラールとフーガ』『前奏曲、アリアと終曲』 ミヒャエル・コルスティック

ヴァイオリン・ソナタ(ピアノ独奏版)、『前奏曲、コラールとフーガ』『前奏曲、アリアと終曲』 ミヒャエル・コルスティック

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    ココパナ  |  北海道  |  不明  |  2021年07月07日

    当盤の目玉は、コルトーが編曲したヴァイオリン・ソナタのピアノ独奏版である。このピアノ独奏版に関するコルスティックのコメントがふるっている。「あらゆるヴァイオリニストにこのスコアは不評でしょうね。けれども、(ヴァイオリンの)キーキーした音(scratching noises)が除かれた版には、確かな魅力があるんです。むしろ、いくつかの点では、ピアノ独奏版の方が優れているともいえるでしょう。ヴァイオリンがなくて寂しい、とはならないですよ」。なかなか挑戦的とも言えるコメントであるが、実際驚かされるのはコルトーの編曲の素晴らしさである。もともとヴァイオリンとピアノで演奏された楽曲を、ピアノだけで演奏しようとする場合、音を出力するスペックが不足し、それを補うためにやたら装飾的になったり技巧的になったりしがちであり、それをヴィルトゥオーゾ的と言い換えてもいいのだけれど、結果として、楽曲の聴き味が違った方向にシフトしがちなものなのである。しかし、コルトーの編曲からは、ほとんどそれを感じない。技巧的な無理はなく、本来ピアノが与えられた役割を果たしながら、ヴァイオリンのカンタービレをしっかりと付与し、肉付けしているのである。確かにこれは名編曲といって良い内容。コルスティックのピアノは例によって光沢があり、スポーティだ。彼の演奏スタイルは、私見ではコルトーとはまったく異なるものだが、当該編曲作品を知るという点では、透明感があり、テクスチュアが鮮明なコルスティックのピアノは適正を発揮する。特に第2楽章の疾風のような速さと、そこに重い音が同居するあり様は、コルスティックならではの味わいだろう。第3楽章の幽玄な雰囲気も、ややメタリックな表現に寄っているとは言え、ピアノ独奏ならではの純度の高さを感じさせる。終楽章の情熱的な盛り上がりは、どこか冷たさを残しながらも、速さと重さによるカッコよさを感じさせる。コルスティックによると、コルトーの編曲は、音楽のポリフォニックな面を明確にする効果があり、それはフランクが、オルガン奏者であったことと合致する手法である」とのこと。なるほど、明瞭で立体感を感じさせる響きが提供されている。前後に収録されたフランクの名品ももちろん美しい。コルスティックは、緩徐的な部分以外ではテンポを速めにとり、そして重々しい強音をしっかりと打ち付けるように鳴らす。その音は、私にはしばしば強すぎるように聴こえるのだが、フランクのこれらの楽曲が、そのような演奏スタイルを許容する包容性があるように感じられ、その点でも新鮮で面白い。

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