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グラス、フィリップ(1937-)

CD ヴァレンティーナ・リシッツァ プレイズ・フィリップ・グラス(2CD)

ヴァレンティーナ・リシッツァ プレイズ・フィリップ・グラス(2CD)

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    ココパナ  |  北海道  |  不明  |  2021年07月06日

    ウクライナのピアニスト、ヴァレンティーナ・リシッツァによる、アメリカのミニマル・ミュージックの大家、フィリップ・グラスのピアノ作品集。収録曲の詳細は以下の通り。「ハウ・ナウ」はグラスのオリジナル・アルバムではオルガン曲。「ライティング・オブ・ザ・トーチ」は、1984年のロスアンジェルス・オリンピックに際して委嘱された作品で、後に作曲家自身によってピアノ編曲されたもの。「ウィチタ・ヴォルテックス・スートラ」というタイトルはアレン・ギンスバーグの反戦詩から採られた。「クロージング」は映画「ミシマ:4章からなる伝記」のために書かれた作品。 グラスの作品は、いわゆる現代音楽に分類されるが、これらの作品を聴いても、不協和な響きや複雑なリズム処理には、ほとんど遭遇しない。それどころか、和声的には非常に調和的な進行が特徴だろう。大体が、次はこう来るだろうと思うとおりに進むので、聴いていて刺激が少ないが、心地よさを感じる。作曲書法はミニマル・ミュージックの名そのままといったところで、扱われている主題は、断片的な性格のものだが、これをひたすらに繰り返し、コード進行を積み重ねることで、音楽的な効果を挙げていく。収録されているものに映画音楽が多いが、同じ主題を扱うことでの持続性に基づく効果の獲得という点で、映画音楽とミニマル・ミュージックの相性の良さを再認識する。中で「めぐりあう時間たち」は、映画の中で扱ういくつかの主題を提示する役目を持っているためか、ミニマル・ミュージックとイージーリスニングの折衷的作風で親しみやすい。私が気に入ったのは、「ポエット・アクツ」「ウィチタ・ヴォルテックス・スートラ」といった暖かい情感を巡らせた作品。また、「マッド・ラッシュ」はエンディングに向けて、ノスタルジックな情感が高まるあたり、なかなか聴かせてくれる音楽。他方、オルガン曲を編曲したという「ハウ・ナウ」はいつ果てるともしれない音が30分近くも続くから、ミニマル・ミュージックに肌が合うという人でない限り、正直聴き疲れするところもある。リシッツァのピアノはさすがである。作曲者自身の自作自演盤と比べると、はるかに音色のパレット、音量のギアが豊富で、様々な情緒を感じさせる。むしろ自作自演盤は、無機的な効果を狙ったのかもしれないが、私にはリシッツァによって、細部まで血を通わせたような、当録音の方が、これらの曲をより理解できた気がする。全般に気軽に聴けるテイストに満ちているので、今までミニマル・ミュージックに触れる機会のなかった人には、良い入門編にもなりえる。

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