『いやいやながらの王様』全曲 デュトワ&フランス放送フィル、G.キリコ、ヘンドリックス、他(1984 ステレオ)(2CD)
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Venus Creek | 東京都 | 不明 | 2012年07月14日
シャブリエの、ほぼ知られざる傑作オペラの、これまた傑出した名演盤。 私が知る限り、入手可能な競合盤はありませんが、そんなものの必要性をまったく感じさせない名演です。 日本の私たちがふつう「フランスのエスプリ」と言うときにイメージする雰囲気にいちばん近い要素をたっぷり備えた名曲。 そして、そのイメージの最右翼と言える演奏です。 指揮者デュトワは、この時期、モントリオール交響楽団の音楽監督に就任して数年を経て快進撃の真っ只中にあり、DECCAに大量の名盤を録音していましたが、あまり知られていませんが、ERATOレーベルにも、フランスのオーケストラと、このオペラやフォーレの《ペネロープ》、ルーセルの交響曲や《バッカスとアリアーヌ》など、カタログ的にも貴重な名盤を録音していました。 キリコやヘンドリックスらの歌唱もこのオペラの洒落た響きにマッチしており、シャブリエの遊び心に満ちた佳品を、この上ない傑作に仕立て上げることに大いに貢献しています。 序曲からしてもう悶絶もの。 シャブリエ以外の誰もが書き得ないスコアを燦然と鳴らし、劇本編への期待感をいやがうえにも高めます。そのあとも愉しい場面の連続。ラジオフランスのオーケストラが、ほんとうにいい音色を出していて、魔法のような世界に私たちを連れて行ってくれます。 この名盤の録音からおよそ30年。 そろそろ、新たな録音が出てきても、と思いながらも、この不朽の名盤を改めて聴いてみると、いや、そんなものが現れてもこれにはとうてい適うまい、と思わせる決定盤です。 ビゼー好きにも、ドビュッシー好きにも、はたまたサンサーンス好きにも、等しくおすすめできる名盤です。1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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