ショスタコーヴィチ:交響曲第14番、マーラー:交響曲第10番〜アダージョ クレーメル&クレメラータ・バルティカ
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kentrane | 埼玉県 | 不明 | 2013年02月22日
マーラー10番とショスタコーヴィチ14番はその深淵に逃れられない〈死〉へのモチーフがあることで共通。僕のクレメラータ・バルティカ(KB)に対するイメージはとことん〈理知的〉というもの。稀にクレーメルのパッションが作曲家と深く共鳴するとき、果てしなく情熱的で、演奏家の忘我的なものを見てしまったような怖さがあるくらいで、基本的には強い表現をするときにでも情におぼれず冷静に、正確無比に弾き切るのが彼らの特徴だと思っている。▽14番の方はこの特徴が見事にハマッっていて、ショスタコーヴィチの無言の叫びをKBが上手く調理していると言った感じ。聴きやすいと言えばそうだが、一方で淡々と弾き続けるKBには恐怖の念も抱く。温度感は限りなく低い。そのぶんニュートラルに、直接的に作品と繋がれる感触を得た。▽マーラー管弦楽曲は良くその志向性として「内方向の弦楽、外方向の管楽」と言われるけれど、KBにはその外方向へのアプローチが欠けている。これが作品の表現にどう作用するかだが…僕個人としては少し物足りなかった。しかしそれはマーラー=レニー的な熱のある演奏を求めるという僕の固定観念の産物であって、この弦楽器用改編版も表現手段として素晴らしいと思う。「これがマーラーか?」と一瞬思ってしまうけれど、KBの弦の艶やかや、緊張感は揺るぎない名演として座を占めていると思う。▽ちなみに14番は楽友協会でのライブ録音であるが、少し咳ノイズがうるさいところがあた。まあご愛嬌かな。1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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