デュファイ(c.1400-1474)

人物・団体ページへ

CD 輸入盤

固定旋律によるミサ曲集 ジェス・ロビン&カット・サークル(2CD)

デュファイ(c.1400-1474)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
MEW1577
組み枚数
:
2
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明

デュファイ:固定旋律によるミサ曲集

● 多声歌曲「わたしの顔が蒼ざめているのは」
● ミサ・ス・ラ・ファス(わたしの顔が蒼ざめているのは)
● ミサ・ロム・アルメ(わたしの顔が蒼ざめているのは)
● ミサ・エッケ・アンチラ・ドミニ&ベアタ・エス・マリア(わたしは主のはしため/祝福されたるはマリア様)
● めでたし、天の皇后(単旋律聖歌)
● めでたし、天の皇后(デュファイによる多声版)
● ミサ・アヴェ・レジーナ(めでたし、天の皇后)

 カット・サークル
 ジェス・ロビン(指揮)

 録音:2015年

ユーザーレビュー

総合評価

★
★
★
★
★

5.0

★
★
★
★
★
 
1
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0
★
★
★
★
★
これだけ古楽CD発売数が減少している現在、...

投稿日:2016/05/04 (水)

これだけ古楽CD発売数が減少している現在、よもやこのような素晴らしいCDが出るとは夢にも思いませんでした。Guillaume Dufayの4つの後期ミサ曲は、疑いなくDufayの最も重要な作品群であるだけでなく、千年以上の西洋音楽の歴史上でもこれ以上ない重要な作品群であるのは古楽愛好家には常識ですが、そのあまりに高い作品の質にもかかわらず、演奏の困難さからか、決して名演奏に恵まれてはいませんでした。古楽の歌唱団体の質が飛躍的に高まったこの数十年間でも、これら4つのミサ曲の超一流の団体による演奏は、ダントツに録音の多いの”Se la face ay pale”含めてこれはというものがない事が多く、しかも数少ない新録音はすぐ入手不能になるので、自分等のような音楽学者でもプロの演奏家でもないものには、不満が尽きた事がありませんでした。古のDavid Munrowの”Se la face ay pale”、The Hilliard Ensemble/Oxford Camerataの”L’homme arme”...と挙げてくると、もう後は寂しくなってきます。The Tallis Scholars, Ensemble Musica Novaなどの超一流団体が、これらのミサを録音してくれないか、というのは自分たち古楽愛好者の本当に長年の希望でした(The Tallis Scholars初期にPeter Phillipsが”Ave regina celorum”の録音を予定していると、インタビューで語っていたのですが、立ち消えになったみたいですね)。Cut Circleという団体のことはもちろん自分も、このCDを手にするまでは(不勉強にして)全く知りませんでした。団体のホームページでは2003年にベルギーで結成された若い団体のようですが、総勢8人(女性2人)の少人数にもかかわらず、その技量は非常にすばらしく、Duet/Soloの部分でも、複数声部の箇所においても全く混濁ないクリアな歌唱をメンバーすべてが可能としてます。Dufayのミサにおいてはおそらく下声部の演奏形態が常に課題で、器楽で代用されることも多いのですが(器楽のみで通す方がまれ)、一切器楽を加えず声楽のみでこれだけ重厚な音楽を現実にできているのは驚異です。収録されている4曲すべて(+シャンソン”Se la face ay pale”、最後の”Ave regina celorum”という贅沢!)、音楽の質的にも西洋音楽史上も、その一つ一つが例えようも無い大きな存在なので、とても個々について記す余裕などありませんが、確実に言えることは、DirectorのJesse Rodinが、この4曲の音楽的歴史的な位置を十二分に認識した上で、Dufayの創作活動の全体像におけるこの4曲の意味から、各曲の細部と全体について深く考察し、その再現・演奏について既存の通念に囚われない解決を与えていることです。もちろん、そこには日々進化する音楽史学の最新の成果も取り入れられているようで、J.Rodin自身のCD解説をみると、彼がいかに深い理解のもとにこの画期的な録音を実現しているかが、よく解ります。4曲のうち最初期で最も多く録音される”Se la face ay pale”をclassicalと呼び、一般にDufayの白鳥の詩とも考えられる最晩年の”Ave regina celorum”をなお未来の発展を見据えたexperimantalな作品と呼ぶ。”L’homme arme”の革新的で時代的にも大胆な音楽を見事に分析した上で、それに対応した大胆で強靭な再現を実現し、一方”Ecce ancilla Domini”では定旋律となるマリア賛歌から、ミサとしての他にない繊細な性格を見事に表現する。解釈・再現について彼らが(独自に?)とった方法論を専門的に論じる資格は、自分にはもちろんありませんが、最後の二つのミサ(”Ecce ancilla Domini””Ave regina celorum”)において、器楽演奏されることが多いテノール声部で原曲の賛歌のtextを実際に歌うなど、実際に聴いてみればその複雑で豊かな響きはまるで全く新しい曲を聴く思いすらします。この点のみならず、彼らが自分等の知識と分析をもとに導き出した数々の解決法は、無論それが決定的回答ではないにしても、過去のどの録音と比較しても同等以上の説得力を有しています。演奏についてのみでも、言うべき事は尽きませんが、J.Rodinの確信を持った解釈・指揮の下に、過去のたいていの録音よりも少人数にもかかわらず、いずれよりも極めて強い表現力を秘めた腰の強い強靭な再現が実現できていることには、感嘆するしかありません。おそらくDufayの演奏・録音史上、さらに古楽の演奏史上でも画期的意義を有する演奏集と考えられ、Bach以前の音楽、特にルネサンス以前の音楽に関心を持たれる方には絶対的にお薦めしたい必聴盤と思います。ルネサンス・古楽愛好家として、おそらく十年に一度も出会えない素晴らしい盤に出会えた事を心から嬉しく思います。

mimi さん | 兵庫県 | 不明

11

古楽 に関連する商品情報

おすすめの商品